自分らしさとはなに?就活で履き違えている自分らしさ

「自分らしく(自分らしさ)」で就職をしたい、という悩みをもっているトランスジェンダーは多くいます。
仕事は人生の中でかなりの割合を占めているため、就職活動でのタイミングというのは、自分の今後の人生を大きく決定します。
そのため、特にセクシャリティを決断する一つの基点と感じる人が多いのです。

もちろん仕事の日は自分の体の性別で、休日を心の性別で生きている人も多くいます。

「自分らしく」と言うのはみんなが思っていること、だけど

「自分らしく」という言葉は別にLGBTだけのものではありません。
どんな人でも「自分らしく」仕事したり生きれたらそれは楽だなーって思っているわけです。
自分のしたいことだけをして、無駄に気を使わず、好きな時間、好きな格好で仕事をできたらそれが最高です。(そういうことを叶えたい人はフリーランス になったり起業したりしてますが・・・)
しかしながら仕事をしていくということ、特に誰かに雇われるとなるとそうはいきません。
親友と遊んでいる時のような素の自分で仕事をしていたら失敗してしまうことを皆わかっているのです。

だからLGBTだけが「自分らしく」できれないというのは大きな間違いです。
みんな何らかしらを偽りながら、誰かに合わせながら仕事をし生きているのです。

LGBTの人が求める「自分らしく」って何?

「自分らしく」という言葉をよく使うのはLGBT特有かもしれません。
先ほど、みんながそう考えているとは言いましたが、あまりこの言葉を選ばないのは確かです。
もう少し楽にいきたい、自由になりたい。という言葉のほうが選ばれています。

ではことLGBTに関しては何故この言葉で強く訴えるのでしょうか。

それは思春期に自分で自分を抑圧してきたことが理由であると私は考えます。
性自認の不一致を抱えていない人はいけないことを親や教師などから怒られる、といったような他者からの抑圧がほとんどです。
しかしLGBTの人は、同性を好きになってはいけない、自分の性別はこうであるべき、といったようなことを、悟り、感じ取り、誰かに言われるわけでもなく自分で抑圧します。

そのため、大人になりある程度自己責任になったときに「自分らしく」ありたいと強く考えるのです。

・髪型や服装を自分らしくしたい。
・性格(内面)を自分らしくしたい。
・性的指向を自分らしくしたい。
・性別を自分らしくしたい。

細かくはそれぞれの望みがありますが、見た目、内面、恋愛、性別といったことを認めてもらうことがLGBTにとっての望みなのです。

就職活動においての「自分らしく」とは何か

では就職活動においては先ほどの4つの点でどこまで自分らしくするべきなのであろうか。
多くの就活生がこれを悩んでいます。

正解はありませんが、これは就職したい企業に合わせたものを選択するべきと私は考えています。
就職すると言うことは、誰かに雇用されると言うことです。
企業側はその人のスキルやセンス、意欲、人間性、企業への調和などを総合的に見て採用を決定します。
わかりやすく言ってしまうと、企業に気に入られることが採用への一番の道です。

大多数の人は就職活動において全て「自分らしく」しているかと言われたらそうではありません。
詐称にならない範囲で企業側に合わせていき、気に入られようとしています。
LGBTの人が普通の人と同じ土俵で戦いたいのであれば、そうでなければいけません。

そう考えたときに先ほどの4つの点についてもう一度振り返って考えてみましょう。

髪型や服装を自分らしくしたい

日本には就活ヘアー・就活の服装なるものがあります。
髪型は男性であれば短め、女性はおでこを出してポニーテールといった感じです。服装はほとんどが黒系のリクルートスーツでしょう。

トランスジェンダーの方で、自分とは心の性の「就活用の見た目」にしたいと思うのはいいことであると思います。
それを正直にしたいという心はとても大切であると思います。

しかしそれを飛び越えて
標準と合わせない自分の好きな見た目にする=自分らしく
というふうに考えている人もいます。
例えば金髪にしたい、ピンクの髪の毛にしたい、チェックのスーツを着たい、レザージャケットを着たいといったことです。

これに関してはほとんどの企業が「めんどくさい人が来たな」って思います。(一部そういう人が受け入れられる職種はありますが)
・標準と合わせられない=協調性がない
・標準合わせるということの意味を考える知恵がない
そう思われるでしょう。

一昔前よりは就活に自由さを求めてもいい社会になりました。
しかし、その面接をしてくれる人は就活が厳しかった世代の人が多いのです。
企業とは言え、面接官個人の心情は必ず入ってきます。
自分たちの時代と比べてふざけている、と思う人もいるでしょう。
今いる社員のことを考えて、服装一つで会社の調和が崩れる人を入れたくないと思うでしょう。

就活ヘアー・服装が堅っ苦しい、なんて思うかもしれませんが、むしろ「こうしておいたら大丈夫という指標」を作ってくれているだけありがたいと思いませんか?それがなかったらむしろ迷っちゃいませんか?

髪型なんて、数年経って仕事になれてくれば、ある程度自由にできるようになります。(派手髪は無理かもしれませんが)
服装はプライベートで好きなもの着ればいいのです。
今自分はこうしたい、で将来を棒に振るなんてもったいないと思いませんか。
就活ヘアー・服装はLGBTだから我慢しなければいけないことではなく、みんな我慢しているのです。

性格(内面)を自分らしくしたい

この世の中、自分の性格が完璧だと思っている人はほとんどいません。
他人からしても完璧な性格の人はいないことはわかっています。

例えば、すごく丁寧な性格だけど仕事が慎重すぎる人は良くもあり悪くもあるわけです。
しかし会社というのは人と人同士で補って成り立っているわけで、そういう人には仕事が早い人と組ませることでうまくいくこともあります。

面接というのは自分の良いところをアピールをする場なのです。
例えば、あなたが面接官だとしてこんなことを言われたらどうですか。

・大雑把なので細かいことは苦手です
・人見知りなのでコミュニケーションは苦手です

こんな言い方をされても言葉通り受け取るしかなく、メリットを何も感じないですよね。
就活相談で、短所を聞かれても最終的には長所のように聞こえるように指導されるのはそのためです。

トランスジェンダーとしての内面の違いはどうでしょう。
男性の見た目であるが自分は女性の性格である、ということを相手企業にとってメリットと聞こえるよう話せるのであれば伝えてみても良いでしょう。
こういった話をすると「就職後に企業に従えというの?ブラック企業でも我慢しろというの?」と言われることもありますが、そういうことではありません。

自分らしい性格を企業に伝えることは結構ですが、企業にとってメリットと思われない伝え方をしても意味はありません。
それはただの自分勝手です。「私はこうだから認めて欲しい」というようなものに過ぎません。

ちなみに私のお店での面接ではこんなことを言う人もいました。
・自分は自殺未遂をしたので傷口を見て
・精神疾患を持っていますので薬を飲んだ日は寝てしまいます
・キレやすい性格なので僕の対する言い方には気をつけてもらいたい
・僕に刃物を見せないでください
私自身が当事者であるから普通の企業よりも理解はしやすい環境であるとはいえ、さすがにこれには驚きました。オナベバーは学校ではありませんよ。

性的指向を自分らしくしたい

性的指向とは恋愛や性愛対象がどこに向いているかというものを指します。
異性愛・同性愛・バイセクシャルといったようなことですね。

しかし、私はこの内容に関してだけは理解ができません。
なぜなら、職場は仕事をする場所であって恋愛をする場所ではないからです。

なので、知られたくないような内容であるなら、わざわざ話すこともないと思っています。
社内やお酒の席で恋愛話になることもあると思いますが、それは上手に嘘をついて避けることが自分を守らなければいけません。
自分で明らかにしてしまう、バレるような行動をしてしまうから、SOGIハラを受ける原因になるのです。

普通の人でも自分の触れられたくない恋愛の話は上手に避けています。
恋愛は職場の外ですれば良いのでは?と私は考えてしまいます。

性別を自分らしくしたい

トランスジェンダーということを明らかにして心の性別で面接を受けれたらそれが一番の理想です。
そうすれば見た目も、性格も、恋愛もすべて明らかにすることができ、「自分らしく」仕事をしていくことができます。
今後の長い人生で仕事の時間は多くの割合を占めますので、ここが一つの転機と考えるのも非常にわかります。

正直なところ、トランスジェンダーである、ということがメリットと考える企業は非常に少ないでしょう。
企業側の気持ちに立った時に、考えなければいけないことが増えると言うことは躊躇してしまう理由となるのです。
ですが、あなた自身の能力が高く、「トランスジェンダーであることが関係ない」と考えるということは十分にあります。

就職しやすさの点から仕事では隠してプライベートでは本当の性別で生活している人も多く、それで満足をしている人も十分います。
こればかりは自分の人生を考えて判断しなければいけません。
就活生はまだまだ若く、どうしても判断を急いでしましますが、30〜40歳を過ぎてから職場でカミングアウト、または転職してカミングアウトする人も多くいます。
会社である程度の関係性ができてきたらカミングアウトをしやすくなるかもしれません。
そうでなかったとしても、社会人としての心得を理解してから転職先でカミングアウトをすることで自分をなるべく傷つけずに済みます。
自分の心が出来上がってないのなら、急がずに様子をみても良いかもしれません。

「自分らしく」いられる居場所が職場である必要はない

「自分らしく生きる」というのは「自分勝手な気持ちを押し付けていい」こととは違います。

性同一性障害・LGBTで辛い思いをしたことは私はもちろん理解します。
だからこそ、自分が自分でいられる場所を自分で作ることが大切です。

人生において仕事をしている時間というのは長いです。
なのでそこに自分でいられる場所を作りたく気持ちもわかるし、それも良いと思います。
しかしながら、それが人生の全てではないので、他の場所で「自分らしく」いられる場所を作っても良いのです。

理解してくれる友人の輪、恋人と2人だけの関係、当事者が集まる場所、いくらでもそんな環境はございます。
性自認の不一致を抱えていない人だって職場とプライベートで別人な人だって沢山いますよ。

もし、どうしても作ることができないというのであれば、私のお店を頼りにしてもらっても良いのです。

鈴木優希

幼少の性同一性障害に気づく。中学、高校、美容師、キャバクラと女性として過ごすが、20代の時に20代の時に性転換をし男性へ。
スナックでの勤務を経てを経てオナベバーVenus開業。
Venusを経営しつつ、現在、社会福祉団体などでの講演、「LGBT理解の為の講演活動」、「オンラインセミナー活動」、「オナベバーなど開業支援事業」を展開しています。

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