健康と自分らしく生きることの天秤にかけているトランスジェンダー

僕たちトランスジェンダーは「健康」と「自分らしく」を天秤にかけることが多々ある。

仕事と私どっちが大事?と聞かれるような物で、どちらも大事で選べる物ではない。
欲を言えば「健康で自分らしく生きたい」というのがトランスジェンダーの本音であるが、どうしてもそうはいかない。

私たちは性転換手術、性別適合手術というものをどうしても考えてしまうからだ。
この手術はテレビメディアでもよく冗談話のように簡単そうに聞こえるかもしれないが、そんなに軽い物ではない。
元々あるものを取って、元々ないものを付ける(作る)。
人が産まれた時の構造と違うものにするのだから、大変であり
そして確実に健康ではなくなっていく。

MTFの子がこういう表現で性転換手術を教えてくれた。
「私たちは元々あるものを削ぎ落としていく作業をしないといけない」

性転換と聞くと男性器や女性器を取るということだけに思われがちだが
そんなに単純ではなくそれだけではないのです。

性別適合手術の基本の流れ

一般的に日本においての性別適合手術はざっくり以下のように段階があります。
・2名の精神科医から性同一性障害であるという診断を受ける。
・本人に強い希望があり適応の診断されたら、ホルモン療法やFTMの乳房切除の治療ができる。
・さらに性別違和を感じる場合、精神科医の診断をもとに性別適合手術をする。

簡単に書くと、これだけの段階を踏んで身体を変化をさせていくのである。
一般的には一気に、男性器または女性器をとっておしまいという訳にはいかない。

ホルモン治療を行い、なりたい身体にホルモンバランスで近づけていく。
FTMなら徐々に生理がなくなり、皮脂が増え、声が低くなり、髭やすね毛などの体毛が濃くなっていく。
けどその代わりに肝機能障害や多血症、心不全などの病気がなりやすく不健康になる。
MTFなら乳房の増大、体毛の減少、肌の女性化など女性の身体に近づく。
しかし、肝機能障害や貧血、脳梗塞などの病気になりやすく、不健康になる。
ファーストステップのホルモン治療でもそうなのだ。
それでも「心の満足」のために治療をしたいのは致し方ないのです。
それでも限界があるので「戸籍」を変えるために性別適合手術をいたします。
「健康」と「自分らしく」を天秤にかけてしまいます。

鈴木優希の場合

幾ら必要がないと思っていても、子宮にも卵巣にも僕の身体にとっては必ず役割がある。

それを取るという事で身体のバランスを崩すこととなり、現に僕は子宮・卵巣の摘出手術をしてから身体に様々な不具合が出ました。

私は40になりましたが同じくらいのFTM仲間と話しても「いつまで元気だったのか?もう思い出せない」と意見が一致します。

それでも私は今は後悔はしていません。
健康とは何にも引き換えにすることは出来ないものだけど、でも自分らしく生きる事も諦められることできなかったです。

自分らしく生き、男性になって女性と結婚することも出来ました。
それはもう派手に結婚式をしましたとも(笑)

その奥さんとは今は別れてしまいましたが、今でも「男」として自分らしく生きているし、心の安定があります。
女性の頃の自分では考えられないほどに。

自分と信頼できる周りの人と考えること

でも、性転換手術を必ず推奨しているわけではありません。
自分がどのように生きたいか、「健康」と「自分らしく」を天秤にかけてバランスの良い人生を生きてください。

だからこそトランスジェンダーと自認したあなたは必ず自分と信頼できる周りの人と考えて、ホルモン治療や性別適合手術を考えてください。
誰かの意見に流されて、影響されてしないようにだけ注意を!

トランスジェンダーはどうしても性別を人生で考え過ぎてしまいます。
これは致し方ないことですが、世の中に悩んでいない人間なんていません。
例えば育ちだったり、国籍だったり大小あれど何かを天秤にかけて自分の納得のいくバランスで生きています。
悩んでいるのは自分だけなど考えずに、少し肩の力を抜いてくださいませ。

鈴木優希

幼少の性同一性障害に気づく。中学、高校、美容師、キャバクラと女性として過ごすが、20代の時に20代の時に性転換をし男性へ。
スナックでの勤務を経てを経てオナベバーVenus開業。
Venusを経営しつつ、現在、社会福祉団体などでの講演、「LGBT理解の為の講演活動」、「オンラインセミナー活動」、「オナベバーなど開業支援事業」を展開しています。

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